シニア向けのリスキリングや在宅ワークの供給は、今後さらに進展していく傾向にあります。現在も自治体や国の支援が行われており、シニア層の働き方が多様化しています。
リスキリングの進展
企業の取り組み
- 大手製造業では、政府の助成金を活用し、従業員向けのデジタルスキルトレーニングを実施しています。
- IT企業では、オンラインで学べるコースを提供し、自宅からでも学習を進められる環境を整えています。
政府の支援
- リスキリングを促進するための公的プログラムや助成金が提供されています。これらの支援は、企業がミドルシニア層の従業員に対して効果的なリスキリングプログラムを実施する助けとなっています。
在宅ワークの供給
現状
- シニア向けの求人でもテレワーク・リモートワーク・在宅勤務OKな求人が増加しています。新型コロナ以降、働き方改革によりリモートワークを導入する企業が増えています。
今後の展望
- ワークライフバランスに合わせて出社日数・働き方を調整できる企業が増加すると予想されます。
自治体や国の支援
政府の取り組み
- ミドルシニアのリスキリングに対して積極的な支援を行っています。公的プログラムや助成金の提供を通じて、企業のリスキリング促進を支援しています。
長期的視点
2030年に予測される労働力不足に備え、企業は労働力確保のための対策を早急に実施すべきとされています。70歳までの長期的なキャリアプランをサポートすることが重要視されています。これらの取り組みにより、シニア層の継続的な就労と新しい技術への適応が促進され、労働市場の活性化が期待されます。
シニア活用の新しい流れ
人手不足が深刻化している飲食、配送、介護業界での取り組み
柔軟な雇用形態の導入
- 時短勤務やパート・アルバイトなど、シニアのライフスタイルに合わせた柔軟な雇用形態を提供する動きが増えています。これにより、フルタイムでは働けないシニアも参加しやすくなっています。
業務の再設計
- 物流業界では、業務を力作業とそれ以外に分類し、シニアや女性でも対応可能な業務を割り振る取り組みが行われています。
- 介護業界でも、シニアの経験を活かせる業務に特化した役割を設けるなど、業務の再設計が進んでいます。
テクノロジーの活用
- 物流業界では、倉庫内にロボットを導入するなど、重労働を軽減する取り組みが進んでいます。これにより、シニアでも働きやすい環境が整備されつつあります。
リスキリングの推進
企業や政府が提供するデジタルスキルトレーニングやオンラインコースにより、シニアのリスキリングが進んでいます。これにより、新しい技術や業務にも対応できるシニア人材の育成が図られています。
採用対象の拡大
- 従来は男性中心だった業界でも、シニアを含む多様な人材の採用に積極的になっています。特に物流業界では、女性や高齢者など、これまで対象外とされていた層への門戸を開いています。
これらの新しい流れにより、シニアの就労機会が拡大し、人手不足解消への一助となることが期待されています。
企業や自治体、国、団体の追加的な取り組み
企業の取り組み
- 定年延長・廃止：多くの企業が65歳以上の従業員の継続雇用や定年延長を実施し、シニアの就労機会を拡大しています。
- リカレント教育の提供：従業員のスキルアップや新たな分野への挑戦を支援するため、リカレント教育プログラムを提供する企業が増加しています。
自治体の取り組み
- 地域包括ケアシステムの構築：医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築を進めています。
- シニア向け就労支援：シルバー人材センターの活用や、高齢者向けの就職説明会の開催など、シニアの就労を支援しています。
国の施策
- 社会保障制度の改革：年金制度の見直しや、医療・介護保険制度の持続可能性を高めるための改革を進めています。
- 健康寿命延伸施策：予防医療の推進や健康増進施策を通じて、健康寿命の延伸を目指しています。
団体の取り組み
- 高齢者向けICT教育：NPOなどの団体が、高齢者向けのデジタルスキル教育を提供し、シニアのデジタル活用能力向上を支援しています。
- 世代間交流プログラム：若者とシニアの交流を促進し、シニアの社会参加を支援するプログラムを実施しています。
これらの取り組みは、2040年問題に向けて、シニアの活躍の場を広げ、社会全体で高齢化に対応する体制を整えることを目指しています。
介護業界の人手不足とシニアの積極採用
現在、介護業界では深刻な人手不足が問題となっており、2023年度には約19万人の人材が不足する見込みです。この状況を受けて、多くの介護事業所がシニア層の採用に注目しています。
シニア向け介護職求人の傾向
シニア向けの介護職求人には、以下の特徴があります：
- 60代歓迎の求人が多い：全国のシニア向け介護職・ヘルパー求人の50.5%が60代を歓迎しています。
- 70代以上も歓迎：70代以上を歓迎する求人も25%あり、高齢者の雇用に積極的な姿勢が見られます。
- 柔軟な雇用形態：正社員だけでなく、パート・アルバイトの求人も57%を占めており、シニア層の多様なニーズに対応しています。
将来の展望
特に、将来的に介護職員の不足が大きいと予測される都道府県では、60代歓迎の求人が多く、正社員としての雇用を求める傾向が強いことがわかっています。
介護業界でシニアが働くための具体的な支援プログラム
リスキリングプログラム
- 介護職員初任者研修：介護の基礎知識とスキルを学ぶことができ、未経験のシニアでも介護職としてのキャリアをスタートできます。
- 実務者研修：より専門的な介護技術を学び、キャリアアップを目指すシニアに適しています。
柔軟な雇用形態
- 介護助手・介護補助制度：身体介護以外の業務（調理補助、見守り、清掃など）に特化した役割を設け、シニアの体力や能力に合わせた働き方を提供しています。
- 時短勤務・パート勤務：フルタイムでの勤務が難しいシニアでも働きやすい環境を整備しています。
企業による支援
- カスタマイズされたサービス：ベネッセシニアサポートなどの企業が、各企業のニーズに応じた多様な支援サービスを提供しています。
- 介護相談サービス：仕事と介護の両立に関する専門的なアドバイスを提供し、シニア従業員のサポートを行っています。
公的支援
- 介護職員処遇改善加算：介護職員の賃金改善を目的とした制度で、シニアを含む介護職員の待遇向上に寄与しています。
- 介護職員等特定処遇改善加算：より高い処遇改善を行う事業所を対象とした加算制度で、シニア介護職員のキャリアアップを支援しています。
これらのプログラムにより、シニアが自身の経験や能力を活かしながら、無理なく介護業界で活躍できる環境が整備されつつあります。また、シニアの継続的な就労を支援することで、介護業界全体の人手不足解消にも寄与しています。
介護業界でのシニア活用の具体的な事例
以下は、シニアが介護業界でどのように活躍しているかを示す具体的な事例です：
- Aさん（65歳）は、介護職員初任者研修を受け、介護施設で働くことに成功しました。彼は以前の職業経験を活かし、利用者とのコミュニケーションを大切にしながら、日々のケア業務を行っています。
- Bさん（70歳）は、時短勤務を選択し、調理補助として介護施設で働いています。彼は調理が得意で、施設の利用者に対して健康的で美味しい食事を提供することで、喜びを感じています。
これらの事例から分かるように、シニアの経験やスキルを活かすことで、介護業界に新たな価値を提供することが可能です。シニアの柔軟な働き方やリスキリングを支援することで、より多くのシニアが介護業界で活躍できる環境が整いつつあります。
介護人材確保に向けた取組（厚生労働省）のように、国家レベルで支援も行われるほど現在も人材確保、育成が急務の分野ですし今後も人手が必要になることはあれ、過剰になることは考えづらい分野ですから今のうちから慣れておけばブランクが多少あっても再雇用が叶いやすい職種といえます。
日本福祉大学グループ 株式会社エヌ・エフ・ユーでも経済産業省 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の提供を実施しています。他にも各自治体にお問い合わせすればそのような事業を提供している内容等がわかる場合もあります。
今後、日本は少子高齢化社会がさらに進み、年齢とともに社会の成熟が一層求められることが予想されます。また、高齢となっても元気に活動できる方が増えることが見込まれ、労働人口の一端を担い、社会を支える存在として期待されます。
多くの業界で知識や経験、新しい労働力としてシニアの活躍が求められる中、シニアの方々も新たなキャリアの道を探ってみてはいかがでしょうか。
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